ふすま

日本の心と技  「襖」

1    襖の現状
更新日時:
2005/09/07 
新築住宅において、都会は勿論の事、地方でも益々和室が少なくなる傾向にあります。和室が3室未満の家庭が9割以上を占めています。
その少ない和室に、予算を削られた安価ないいかげんな襖が入っていることも多いようです。また現代の住宅は、部屋が狭い上に物が溢れています。その中であっちへぶつかり、こっちへぶつかりとして生活することが多いので、襖は傷だらけになって沈黙を守っています。
本来襖の入っている和室は、きちんと整理されていて欲しいものです。文字通りの「押入れ」では、ぎゅうぎゅうに入れ込んだ布団に押し出されて、襖は機能通りに溝の中をスライドしません。出来ることならば、引き手にしっかりと手を添え、ゆったりとした気持ちでゆっくりと開け閉めをするという、日本古来の礼儀作法を少しだけでもわすれないで欲しいと思います。
それでは本来、襖とはどういうものなのでしょうか。

2    襖の歴史
更新日時:
2006/07/25 
平安時代の寝殿造での障子が、いわゆる襖の原型です。ただ立てるだけの建具が、平安中期には、引き戸方式となり柱の間を引き違いに動く建具に進化します。
これは西洋には無い日本の建具独自の発明であり、「間の文化」日本の夜明けとなりました。
鎌倉・室町時代には、書院造への移行が始まり、襖障子には大和絵・水墨画などが、部屋の格式や用途に応じて描かれるようになりました。
桃山・江戸時代になると、書院造が完成され権力者達は格式ある絢爛豪華な障壁画や金箔をふんだんに使った襖絵で、その力を誇示したのでした。
こうした中、豪華とは逆に「侘び 寂び」といった心を大事にした茶の世界から数寄屋造が生まれ、より自然な抽象化されたデザインの襖が登場しました。
江戸時代には裕福な町人の間に唐紙が広がり、中期になると一般庶民の住居に、襖が普及し始めました。
明治時代では、洋風化の波の中で和洋折衷の独自の意匠も考えられ、大正から昭和にかけては、美術品としての役割をもっていた襖が、大量生産と均質化の道を歩み始め、次第に実用的なものへと性格を変えていったのでした。
近年、益々洋風化が進み、減少への途を歩み始めた感があります。また、オートメーション化された中で大量に作られる襖と手作りの伝統襖の二極化が進み、品質では劣るものの、格安な前者のシェアがマンション・ゼネコン・建売住宅を中心に後者を完全に凌駕したようです。
 
 

3    襖の役割
更新日時:
2006/07/25 
戦後、日本の住まいは、客を迎え入れる為の部屋よりも家族主義の部屋作りに関心が払われるようになりました。各部屋の独立性が高まり、プライバシー重視に目が向けられる反面、二間続きの和室が段々と減ってきました。
今日では、襖を押入れのふたとしか思わない人が多いのではないでしょうか。あの大森貝塚を発見したモースが「スライディングスクリーン」と絶賛した日本独自の引き戸式間仕切りは、横に滑らせるだけで、西洋のドアのように余分なスペースを取らずに開け閉めができるのです。
それだけでなく襖は、室内の空気を調整する働きがあります。湿度が多いときは湿気を吸収し、乾燥した時は湿気を吐き出すのです。これは、自然素材の和紙が幾重にも重なっている方がより効果的なのです。
日本の手漉き和紙の美しさと耐久性は、世界的にも認められていますが、その和紙をふんだんに使った丈夫な襖なら、吸音性や断熱性も兼ね備え、湿度変化の大きい日本の気候に最も馴染むからこそ1000年もの間使われてきたのです。
これからも、この伝統に裏付けられた「趣のある和空間」と、ますます磨きのかかった和洋折衷が織り成す「モダン和空間」に、品質の良い「襖」はなくてはならないものだと思います。

4    襖は表具師が
更新日時:
2006/07/25 
襖は本来、表具師(経師)によって作られます。個々の店の流儀に則って襖の作り方を研究し、そのノウハウが受け継がれています。
ですから、たとえ量産された襖に対してもその張替えや修正にも柔軟な対応が出来るわけです。
襖の張り替えや取り替えをどこに頼んだららいいのかと迷っている方は、是非近くの信頼できる表具(経師)店を探してください。ただただ安い、通り一遍の業者やにわかに覚えこんだ、高齢者○○団では、後悔することも多いでしょうから。
 
     (この項 鈴木雅彦)
 
 
 
 

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