和紙
日本の心と技



1    和紙とは?
更新日時:
2005.09.07 Wed.
皆さんは「和紙」というとどのようなイメージをおもちになりますか?
「書道」「千代紙」「お茶」「お花」「着物」「巻紙」「筆」「墨」「和菓子」「襖」「障子」等々、日本古来の伝統文化をイメージされるのではないでしょうか?
そしてその「和」という言葉の響きに「ワビ」「サビ」と同時に「落ち着き」「静寂」「清楚」「簡潔」といったものをイメージされるのではないでしょうか?
私ども表和研究会では、このような「和」のイメージを暮らす━住まいの中に実現させるお手伝いができればと考えています。
 
ところで、一口に「和紙」と言っても人により相当幅があるようです。これは「和食」も同様なことがいえるようですが、狭義に━原料は国内楮(こうぞ)・三椏(みつまた)100%で紙漉きの校庭で使用する添加物及び資材の全てについて国内産100%の「和紙」から、パルプ100%の洋紙に「和風柄」をプリントした「和(風)紙」までもが、「和紙」として扱われているようです。
現況の原因の大半は「生産」「流通」「加工」を担う我々供給者が市場原理に振り回されてしまった点にあると痛感しております。
そこで、このページでは、「住宅にお使い頂く」事を前提に「和紙」を紹介させていただきます。

2    和紙の定義は混乱しています
更新日時:
2005.09.07 Wed.
前述のように、改めて「和紙」を問い直すと戸惑いが有ります。なぜなら「和紙」という言葉そのものの発生が、明治中頃の(諸外国からの紙)=「洋紙」に対置する呼び方として、それまで国内で生産されていた紙全部を総称した概念でしかないからです。
更に「洋紙」vs「和紙」という区分で始まった(日本の紙事情)は、製法の開発やユーザーである我々の生活様式の変化により大きく変わってしまいました。
極論ですが、現在の紙事情を「和」をキーワードに見渡すと(明治以後諸外国から導入された外来文化を起源とする洋紙系の紙)と(伝統的な日本文化を起源とする和紙系の紙)程度にしか分けられないのではないでしょうか? そして、その区分けも不明瞭です。
 
したがって、紙の製造工程、原料、原料生産地、製造方法の違いによる区分けでは、「和紙・洋紙」の説明が出来ないと思いますし、混乱と誤解を招くような気がします。
私達は「職人」ですので、日頃仕事では、手漉き紙・機械漉き紙・楮紙・パルプ紙等をそれぞれのケースに応じて使用しています。
また「和紙」という言葉の説明はできなくても「紙」の区別をしなければなりませんので、「紙」を使う時は先に区別名称を付けて呼んでいます。例えば「越前和紙」「土佐和紙」「美濃和紙」等々、また通常は地名や生産者名に「紙」だけを付けて呼んでいる場合もあります。
したがって、生産地・生産者・原料・製造方法別の区分けを良しとしています。(例えば「越前の岩野平三郎さんの所で流し漉きされた麻紙」)
しかし、「和紙」という言葉が一般名称として定着して、曖昧なまま受け入れられているのも事実です。専門家の方も「説明は難しい」と言いつつも、使っています。まあ語感もいいですし、その響きに我々は知的で良質な何かを感じます。
今後このページではその「和紙」について皆さんと一緒に考え、暮らしの中でご活用頂くためのヒントを共有できればと考えております。
 

3    和紙=紙を考えてみる
更新日時:
2005.09.07 Wed.
以上のことを踏まえて私達もあえて曖昧な「和紙」という言葉を使うことにしましたが、私達の仕事と関係してくる「内装材」としての「和紙」を考えようとすると「和紙」という呼称ではどうしても混乱や誤解を生じてしまいそうです。 従いまして、しばらくは
内装材としての「和紙」は[紙]と呼びながら考えていきたいと思います。
 
紙を考える時、製法、種類、用途だけでもかなりの広範囲になります。これは長い歴史の中で我々の生活文化に染み込んでいることの証ではないでしょうか。
そこで、下記のように整理し考えていきたいと思います。
  • 歴史
  • 特性
  • 意匠(デザイン)
  • 施工方法
  • 価格(施工費)

4    歴史
更新日時:
2005.09.07 Wed.
(明治以前)
意外なようですが、内装材としては唐代中国の宮廷壁画あたりがその始まりと考えられています。従って、紙は壁画用(壁紙)を起源として使われてきたようですが、日本では、平安朝の宮廷建築で書院造での側面装飾(障壁画)が一方で建具として発達し、更に絵の下地材が板から紙に変化して襖となったと考えられます。
日本とヨーロッパのでは建築における紙の使い方に違いがあって、こちらは襖への方向に発達していき、むこうでは壁紙への方向へ発達していったようです。
日本では一般的には住宅に紙は使用されていませんでした。例外的には障壁画やお茶室の腰張りくらいです。
この違いの根本は気候風土の明確な違いによる生活習慣や建築様式の違いにあると思われます。このことは、今日のインテリアを考える上での重要なポイントになると考えられます。
 
( 明治〜戦前)
明治以降は洋風建築の模倣と共に発達し、輸入だけでなく「金唐革壁紙」や「葛布」等の輸出も行なわれるようになりましたが、大正期以降は主に朝鮮に輸出する為のヨーロッパ調の紙壁紙や、「襖調の紙壁紙」が主流だったようです。
 
 (戦後) -復興建築の本格化と共に急速に発展する-
しばらくの間は「鳥の子・加工紙」が中心でしたが、新素材(当時の)を使った麻布・洋服材を裏打ち使用するようになります。その後(内装素材としての紙の需要は下降気味に推移していきます。
 (高度成長期)
ビニール系の素材の出現やそれに伴う施工方法の発達と「一人一部屋」「庭付き一戸建て」政策による建築ブームによる「壁紙の大量使用」時代が到来し、紙の使用率は急速に下降の一途をたどり続けました。これは、「織物壁紙」も同様の傾向を示しています。
また、この頃から「壁装材」「クロス張り」等の言葉が登場しました。
 
 (今日)
リサイクル、自然保護、シックハウス症候群等の環境問題に対応した内装材の必要性が叫ばれ、自然素材の見直しの傾向と共に「紙壁紙」が再度脚光を浴びるようになり、「和紙張り」という言葉も出現してきました。
 
今回はここまでとさせて頂き、次回では、今回の補足と「特性」についてお話したいと思います。
 
  (笠井市造)



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